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ラノベのら 6

 いい歳こいたオッサンが、今更ながらここ最近のラノベを適当に読む。
 そんな日常を、しばらく続けています。
 今回はちょっと多め。



 とある飛空士への追憶/犬村小六

 劇場アニメ版を先に見てしまい、それが個人的にイマイチだったため、原作を読むことは無いと思っていたのだけども、最近の流れで何となく購入し読む。
 二つの大国の戦火が拡大する中、しがない下層階級の飛空士シャルルが、時期皇妃であるファナを載せた飛空艇を駆り、敵中を突破し本国へと送り届けるという極秘任務を受ける。
 その作戦の中で築かれる二人の絆、そして胸を熱くさせる空戦…
 と、基本的な設定や物語は劇場版と変わりはなかった、当たり前ではあるのだが。
 しかし明確な違いがいくつかある、それは特にシャルルとファナの、お互いの想いを表現する描写の細やかさである。劇場版がいかにスポイルされているかが、今回読んでて分かった。
 劇場版は原作好きには不評なのだが、確かに、重要な部分削りまくっていたようだ。
 ヒロイックな内容なのに、主人公とヒロインの感情が上手く伝わってこない、というのは致命的だった。原作ではそれが丁寧で、劇場版での不満を解消するには十分な出来だった。
 ボーイミーツガール、身分違いの恋、極秘作戦、パイロット同士の奇妙な友情、熱い空戦、そういった普遍性のある娯楽要素が高い技術でまとまっており、いい娯楽小説として読めた。
 なるほど、確かに面白いし評判が良いのも頷ける…が。
 やっていることはそれこそ普遍性の塊であり、王道を王道として描いたものである。勿論それ自体にも高い技術を必要とするのだけど、真新しさという点では劣ってしまう。
 新しいのに、まるで古典名作を読んでいる気分ではあった。
 それから、ファナがどれだけ気高く美しいのかを説明するだけに数ページをかけていたのには思わず失笑してしまった。どれだけヒロインを押す気なんだろうこの作者は。
 内容的にも技術的にも良い、けども界隈で賞賛されているほどではないとは思う。
 いや面白かったけどさ、劇場版も改めて見てみたいものだ。



 六畳間の侵略者!? (1)/健速

 程よく巻数も出ており、現在も続刊中、らしいので手に取り読む。
 高校入学と共に一人暮らしをすることになった主人公/孝太郎、格安のアパートを見つけ引っ越すことになるのだが、その部屋には幽霊が出ると、過去の入居者も早々に退去する曰く付き。
 そして出没する幽霊は部屋の所有権を主張し、さらにはこの部屋を狙って地底人やら宇宙人やら魔法少女やらが押しかけるという侵略を受ける中、孝太郎の受難が始まる。
 大体こんな内容、なるほど。
 個性的なキャラクタ達を一つの場所に詰め込み、場を極小のサイクルで回すというのにアパート方式があるのだけども、これはそれを更にミニマム化し、部屋単位でやってる感じ。
 そのため、イベントやキャラ立てに事欠かず、絶えず読者に何かしらが起こっている状況、を示すことが出来る。この場の形成にはちょっと関心した、逆転の発想だな。
 一巻しか読んでいなくとも、このジェットコースター的な展開は思わず先を知りたくなる。設定やキャラの個性を出し惜しみしない描写は、ページをめくる魅力を十分に持っている。
 ヒロイン?一人一人が孝太郎の住む部屋、を狙っており、それ故に侵略者とされるのだが、主人公である孝太郎は、当然それを阻止する立場にあるのも良い。
 ヒロインに対して防衛/攻撃的行動をとれる主人公、というのはいいものだ。
 …まぁ、恐らく続刊に従って、関係も懐柔されるのだろうけども。
 さて、個人的に関心したし結構面白かったのだけど、続きを読みたいかというとNO
 単純に文章が俺には合わない、キャラが揃ってきた後半は楽しかったのだけど、状況が淡々と進むだけの前半はもう退屈で苦痛の一言。単純に文章で読ませる作家ではないのだろう。
 自転車を走らせるシーンで、キコキコキコ、と擬音で表現した時は失神するかと思った…
 キャラクタが目まぐるしく掛け合いをするシーン自体はとても楽しいのだが、はっきり言ってそれ以外の描写がどうしようもないのだ。純粋に、キャラと設定だけで勝ってる作品。
 勿論、それだけ、でも十分なくらい特化してる作品なのだけど。
 合う人には凄く合うし、別段嫌う理由も無い、良い意味でライトノベルでもある。
 だけど、俺はちょっとだけ駄目という感じ。今のところ、続きを読む予定は無い。



 変態王子と笑わない猫。(1)/さがら総

 近々アニメ化しそう、という悪魔の囁きを耳にしたので即購入、即読破。
 常日頃から女の子のことしか考えていない主人公/陽人は、度々建前を並べては本音を言えない性格に参っていた。そんな時、友人から町外れにある「笑わない猫」像の噂を聞く。
 その像にお供え物を捧げると、自分が要らないものを、それを必要としている誰かに渡してくれるのだという。そして彼は、自分の建前、を要らないと願ってしまい…
 大体こんな話。
 こうして、自分から建前、というものが失われた陽人は本音が駄々漏れの状態になってしまい、女の子のことしか頭に無かった彼は、いつしか変態王子と呼ばれるようになる。
 そんな変態な言動をとり続ける彼と、同じく笑わない猫像に「本音」を捧げてしまい感情と表情を失ったヒロインのラブコメディ、というのが大方の本筋である。
 とにかく文章のテンポが良い、デビュー作らしく読みづらさはあるものの、韻や文章の流れが軽快であり、比較的文章量が多い作品であるものの、スラスラと読めてしまった。
 思わず声に出して読みたくなる文章である、本編は主人公の一人称で語られるのだが、主人公の性格も相成って、この作品の方向性を実に特徴づけていると思う。
 変態と呼ぶには少々パンチが弱いが、この軽快なノリは読んでいて楽しい。
 反面、登場するヒロイン達は大して特徴もなく、ステレオタイプではあるのだが、主人公のキャラのおかげでどうにか埋没していないだけ、という印象はある。
 ストーリーも大味で、主人公含むキャラクタの葛藤や心理描写などは甘く、本音や建前、失うもの欲しい物、そういった設定に振り回されているような乱雑さもあった。
 特に、主人公に明確な意思というものを感じることが出来なかった、のは辛い。
 キャラクタとしては面白いのだが、これでは主人公というよりもただの舞台装置だ。
 そして、良くも悪くも、それだけの作品、になっているのも確かだ。
 コメディとして読む分には面白いのだが、物語性や成長性を含む話として見るには粗が多く、ヒロイン達の魅力も設定や主人公の言動に助けられている部分があり…
 総合しても、ああ、いつものMF文庫だな、としか言いようが無い。
 設定の奇はあるけど、そこまでの魅力は感じなかったかな。結構面白かったのは確かだが。
 続刊を読むかどうかは…とりあえず保留しておこう。



 もて?モテ! (1)/長野聖樹

 これも結構な巻数が出ていたので購入、しかし全八巻で完結済みらしい、残念。
 最近のラノベは五巻も出れればメディア化はされるイメージなんだが、そうでもないのね。
 全ての女の子が幸福に暮らすことの出来る、理想の国家であるモテ王国を建国するため、主人公/良太郎は日々女の子を勧誘し続けるのだが…その結果は当然ながら散々なものだった。
 そんな中、海外の義父から太古の携帯電話らしきものが送られてくる。訝しげに電源を入れてみると、小さい女の子が現れ、彼女は自らをモテモテ携帯のモテ神様と呼んだ。
 大体こんな話。
 意中の女の子のアドレスを入力すると、たちまちその子にモテモテになってしまう太古の携帯電話を手に、主人公はモテ王国建国に乗り出すラブコメディ。
 というのが本筋である、というか、それ以外の要素が全く無い。
 主人公はただ我武者羅にモテたいのではなく、あくまでも少女達の安息の地を作りたいという思想の元動いているので、そこがストッパーになり決して一線を越えようとはしない。
 なので、ヒロイン登場→彼女にモテよう→アドレス奪取→イベント→モテ過ぎてこのままじゃ駄目だからアドレス消去→前の関係に戻る、けどちょっとだけ相手は気になってる感じ。
 という展開を繰り返すことになる、仕方のないことだが。
 その上、ある意味お約束といってもいいラッキースケベなイベントや、どこかで見たようなヒロイン達がどこかで見たような展開で惚れていくという、面白みのない内容。
 設定もぞんざいで、このモテ携帯とは?モテ神様とは?
 その応えは、本編でも主人公にどうでもいい、と一蹴される始末である。
 文章も稚拙で、状況描写にしろ心理描写にしろ雑が部分が多い。とにかくキャラクタが何を言って、どういう行動をしたのか、だけを延々と書き連ねたような、上っ面な説明が並ぶ。
 純粋に面白くない。
 これで、この内容で八巻まで出ているのが脅威である。一体コレ以上何をするのか。
 何しろモテ王国を建国した時点で話は終わるし、特定のヒロインとくっついても話は終わる。とすれば、あと出来ることはヒロインを出しまくって、同じような展開をするだけになるが…
 ただでさえつまらないのに、そんなのをここから八巻も続けるのか、恐ろしい。
 正直なところ、自分には合わないけど、こういうのが好きな人には合う、と大体の作品は肯定出来るのだが、この作品はどういう層が好んで読むのかがサッパリ分からん。
 エロ目当てかなぁ…それくらいしか見所がないし…
 しかし、ラノベを改めて読むようになってからというものの、読んだ作品はどれもそこそこ面白かったものが多かったので油断していたのだが。
 本作を読んで、そうそう、コレだよ、と変に感心した。
 ココ数年の間イメージしていた、「物凄くつまらなくて毒にも薬にもならないライトノベル」
 それって、こういうのだよなぁ、って。
 そういう意味では、読んで良かったと思う。読了して、つまらなかった、と清々しかったもの。
 当然、続刊を読む予定は無い、金輪際。

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波多緒理樹

Author:波多緒理樹
アニメ見たりゲームやったり
同人描いたり酒飲んだりする
どこにでもいるような人間

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